日本の住文化の基本

     

昔の加工技術では柱などの木材は貴重品であり家を建て替える際には

何度も使い回され、そこにはものを大事にする精神がありましたし、

開放的な間取りは近隣とのコミュニティを重視し

ご近所付き合いが活発で地域で子どもの躾や教育もおこなっていました。

また四季折々の伝統的な行事は代々と受け継がれ

その積み重ねこそが文化となったのです。

自然の前には無力だった昔の生活は逆に自然との一体感を生み、

八百万の神として回りにあるもの全てに感謝するという

日本人の精神性をも育んだと思います。

そういう文化を戦後の高度経済成長時代に忘れ、

日本の住宅の平均耐用年数が37年という住宅すらも使い捨ての

スクラップ&ビルドという流れになったのです。

経済が右肩上がりの時代であればそれでも問題は無いとおもいますが、

経済的に成熟し、少子高齢化社会を向かえるこれからは住まい、

住宅についても文化的な成熟が必要だと思います。
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その為にはまず原点として古民家の事を学ぶ必要があるのです。

私が古民家にこだわっているのは不便な生活を強いられる

またユーザーに住むように押し付けて江戸時代の生活に戻るようなことではなく

、古民家に活かされた様々な先人達の知恵を学び、

それを現代の生活の中に上手く取り込む事で持続可能な循環型の建築を

取り戻すことなのです。

私たちには日本古来の技術と文化を未来の子ども達へ引き継ぐ使命があるのです。

古民家の事を学び、そこに活かされた先人達の技や考え方を

現代の住宅にも取り入れて活用する。そしてそうする事で、

現在日本の住宅の耐用年数の短さを解消し、

少なくとも欧米諸国の住宅の平均耐用年数である100年程度は

持続可能な住環境をユーザーへ提案していくことで、

無駄な資材の浪費を控えて地球温暖化防止にも貢献していくということだと思います。

1、古民家に使われている資材は自然素材であり、再活用ができたり、また廃棄しても有害なものを排出する事が無い。

2、古民家の伝統構法は免震的な構造で地震が起こったとしても上手く地震の力を逃がす構造で日本にあった構法である。

3、地元の資材で建てるという事は地産地消で地域の経済活性化にもなり、無駄な二酸化炭素の排出を抑える事ができる。

4、夏の暑さを和らげる工夫は現在の住宅でも充分知恵として活かす事ができる。

5、外部との一体感を重視した古民家の開放性は回りの自然環境との調和を生みだし、また人の心にも癒しの効果を与える。

6、個人主義とは違い、家族での団欒を重視する間取りからもう一度家族のあり方などについて学ぶべき点はある。

7、ひとつの部屋で就寝を重複しておこなう古民家は、家の大きさを小さくすることが可能で、コスト面、環境面とも学ぶ事が多い。などでしょうか。

多くの方に「古民家」から【先人の知恵】を学んで頂きたいと思います。