古材活用と新民家

     

「使い捨て時代」が終わりました。

「使い捨て時代」には、ゴミ問題がこれほど深刻化するとは誰も予想しませんでした。

リサイクル運動の広がりなどを背景に、

私たちが子供のころ親や先生たちに聞かされた

「ものを大事にしなさい」という言葉がまた聞かれるようになってきました。

そして「もの」のうち、個人が所有する一番大きなものが住宅です。

バブル時代には個人の住宅を壊してビルの建設用地を確保する「地上げ」が盛んに行われ、

木造住宅は平均27年で壊されていました。

更地が最高の財産価値を持っていたからです。

ところがそういう時代はもう終わり、住宅を使い込んでいく時代になったのです。

では、木造住宅を長持ちさせるとどのような利点があるのでしょうか

一つはもちろん個人の経済的な利点です。

1,000万円で建てた家に10年間住めば、1年当たり100万円のコストがかかりますが、

20年間住めれば年間50万円のコストで済みます。

一方では、地球レベルの利点があります。

木造住宅を長持ちさせることが地球環境を守ることにつながるのです

。地球温暖化の問題では、二酸化炭素(CO2)の発生をいかに削減するかが議論されています。

木は二酸化炭素を取り込み、炭素(C)を蓄えて、残った酸素(O2)を放出するはたらきをしています。

水中の藻や草花も同様のはたらきをしていますが、木が最も活発です。

こうしたはたらきをしている木を切って、

材料に使う木造住宅はけしからんという議論も必ず出てくるのですが、それは違います。

植物も生き物ですから、動物と同じように酸素を吸って二酸化炭素を出す呼吸作用をしています。

そして、木は成長してある程度の大きさになると、

二酸化炭素を吸って酸素を出すはたらきがあまり活発でなくなります

呼吸と相殺でプラスマイナスゼロになるほどしか、二酸化炭素を吸わなくなるのです。

そこで、大きくなった木を切って、そこに苗木を植えれば、

苗木は大きくなるまでに大量の二酸化炭素を吸ってくれます。

地球温暖化防止の観点からは、燃やしてエネルギーにするのも手なのですが、

せっかく吸ってきた二酸化炭素をもう1回吐き出すことになります。

木造住宅を建てて、1年でも長く寿命をのばせれば、

それだけ長く二酸化炭素を家の中にエネルギーとして固定できるのです。

木造住宅に450年住み続けるだけで地球の環境を守っていることになリ、

しかも家を建てる時に使った分だけの苗木を植林しておけば、

40~50年間で植林した木が全部育ちます。

そのときになって家を廃棄し二酸化炭素を放出しても、

植林した木が二酸化炭素を吸ってきた分だけ地球レベルで得になっているということです。

もちろん「木材は切って100年後一番強くなる」のですから

「古材として再利用すること」が一番いいです。

今年も24時間テレビに合わせて「炭素の森」の活動をしています。

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