日本版CCRC
- 2015.06.23
- 社会公共性
「日本創成会議」は
東京など1都3県の介護への需要が今後10年で45%増え、
施設や介護士などの不足が深刻になるとの試算を発表しました。
一方、すでに高齢化が進んでいる地方は介護需要の伸びが相対的に低く
介護の余力がある地域もあることから
「東京圏の高齢者の移住」を対策の柱として提言しています。
日本では第2次世界大戦後にベビーラッシュが起こり、
1947年から49年までに269万人の子どもが生まれました。
これが、いわゆる「団塊の世代」で
2025年には全員が75歳を超えます。
1都3県は現在の397万人から2025年には572万人と大幅に増え
介護施設の不足がとりわけ深刻化します。
創成会議では、ロボットの活用などで介護人材への依存度を下げたり
効率的に医療介護サービスを受けられるような
体制を作ったりといった提案をしていますが、
最も強調しているのが東京圏の高齢者が地方に移住するための環境整備です。
いわゆる「日本版CCRC」
「CCRC」とは
「Continuing Care Retirement Community」の略で、
継続してケアを受けることができる退職者のコミュニティーの事です。
アメリカでは、高齢者が健康な段階から
介護・医療が必要となる時期までも過ごす共同体があり、これを「CCRC」と呼んでいます。
政府は人口減対策として、大都市圏からの移住の促進を掲げているのです。
介護が必要な高齢者が大勢移住した場合、
自治体にとって問題になるのが介護や医療の費用です。
実は病院や介護施設、ある種の高齢者向け住宅に入った場合、
移住前の自治体が介護や医療の費用を賄うという制度がある。
しかし、移住者の全てをカバーできるわけではないので、
高齢者を多く引き受けた自治体は、将来、医療や介護の費用が膨らみ、
保険料が上がったり、財政負担が増えたりする可能性もあります。
「介護が大変だから将来、介護の心配を感じる人は地方に移住できるように選択肢を用意しますよ」
ということです。
将来、高齢者が東京圏にとどまれば、介護施設をある程度増やさざるを得ません。
介護の人材が不足するので、地方から若い世代を引っ張ってくる施設が増えます。
そうなると、東京圏への若者の流出に拍車がかかり、地方の人口減も進んでしまいます。
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